中西印刷は1912年(明治45年)「札幌の地」に創業以来、2012年4月30日で創業100周年を迎えることができました。地域社会の多くの皆様に支えられて、今日を迎えることができたことを、心より深く感謝申し上げます。
 弊社は、創業時には中西製版所として、亜鉛凸版やコロタイプ、冩眞石版等の技術を生かして当時の北海タイムス(現北海道新聞社)の写真製版に関わる仕事を中心に行っておりました。
 その後、昭和18年に活版印刷を手掛けることで今日の印刷会社としての礎を築き、その間、1929年(昭和4年)には、世界大恐慌。1941年~1945年には太平洋戦争。そして敗戦──。その後は紛れもなく、中西印刷は戦後の日本の繁栄と共に歩んでまいりました。
 1970年代に入り2度のオイルショックを経験。その間、会社存亡の危機にさらされ、規模の縮小、他社の資本協力による再建──。
 そして1980年~1990年代をピークに日本経済成長と呼応して、中西印刷もまた着実に成長を続け、新時代の到来を告げる21世紀に至ったわけでございます。
 2000年以降は、デジタル技術の発展により急速にIT化が進み、パソコンの普及により、世界三大発明の一つであるグーテンベルグ以来の印刷術に陰りが出始めました。画一的大量生産・大量消費の時代から多品種少量生産・自然環境保護の時代へと大きくパラダイムシフトし始めたのです。
 2010年、紙メディアへの〈アンチテーゼ〉として電子書籍等々の出現──。いよいよ紙以外の多様なメディアが登場し始めました。
 ダーウィンは「種の起源」の中で、「最も強いもの、最も賢いものが生き残るのではなく、最も変化に敏感なものだけが生き残る」と言っています。まさに10年先を予想することが極めて困難である「印刷新時代」において、印刷業が製造業、サービス業として、さらにはコンテンツ産業として、どのような変革を遂げてゆくのか……。いずれにしても、社員一人ひとりの意識改革は焦眉の急です。
 中西印刷は、Printing(印刷)、Publishing(出版)、Planning(企画)の3つのPを〈キーワード〉に、時代の要求に対応できる「総合プロデュース業」を目指し、全社一丸となって、〈変革の更なる挑戦〉をしたいと考えております。
 私たち中西印刷は今後も地域の皆様と共に、社員の一人ひとりが地域文化に貢献できる企業を目指して努力してまいります。「創業100周年」を機に、皆様からの一層のご指導とご支援をいただければ幸いです。
  2012年5月

中西印刷株式会社 代表取締役 林下 英二