記念史は、何のためにつくられるのか? そのことを改めて考える機会をくれたのは、北海道美術協会発行の「道展九十年史」の存在だ。
中西写真製版所として創業した明治45年から一世紀を超え、数え切れないほどの記念史(誌)、社史、町史を手掛けてきた当社。私も16年の印刷人生のなかで多くの記念誌の制作に携わらせていただいたが、この1冊が私にとって改めて記念史を制作する意義を強く感じさせてくれた。
あと10年で100年という大きな節目を迎える90周年の今だからこそ、創立当時の思いや、これまでの歩みのなかで歴代会員たちが抱いた熱い思いや創意工夫をきちんと記録し、次世代のために伝達する。
その真摯な姿勢を目の当たりにし、その行為と意志が在るからこそ、その行く先に尊い未来がつくられるのだと思い至った。(K.Y)